とめた息をつく。もちろんタクシーは走ってはいるが、うまくつかまらずに町なかをタクシーを求めてさまよい歩くこともある。重い荷物を持ち運ぶとなると、②欲しい本も、次の機械にとあきらめざるをえない?こんなとき、自分の車があったらどれだけ楽か分からない。
知り合いには五十歳を過ぎて免許を取った男性たちがいる。彼らに免許の話を聞こうとすると、話が途切れることはない。苦労して取ったので、その喜びはたとえようもないらしく、目が輝いている?
「運転はいいですよ?ぜひとりなさい?私なんか週末、必ずドライブに行ってますと勧められた?
「家には居場所がありませんからね?でも車の中は僕だけの個室だから」
そういう考え方③もあったのかと私はうなずいた?
もう一人は、無事に免許を取っても、最初は右折(うせつ)(注2)をするのがとても怖かったという?駐車をするにも、③スペースがあるときは問題ないのだが、二台の車の間に駐車するとなると、舞い上がって(注4)しまうといっていた?
免許を取って直後、彼は近所のスーパーマーケットに行こうと試みた?彼がまずやったのは、徒歩(とほ)(注5)でその店まで行き、駐車場が空いているかを確認することだった?そして右折ばかりを繰り返し、ものすごく大回りをして店まで行った④というのである?
この話は笑い話として伝えられているのだが、もしも免許を取ったら、私も⑤そういうことをやりかねない?最近は年配の人も車を運転しているし、それを見ると自分もしてみたくなる?しかし適性や事故を起こしたらなどと考えはじめると、便利だからという気持ちは、しゅーっとしぼんでいってしまい、いまひとつ教習所の門を叩くまでにはいたっていないのである?
(注1)~とすら思う:~とまで思う、~とさえ思う
(注2)右折:道を右に曲がること。車が左側を通行する日本で は、交差点で右折するときには前から来る車に十分する必要がある。
(注3)スペース:空いていうる場所。
(注4)舞い上がる:どきどきした気持ちになる。
(注5)徒歩で:歩いて。
(注6)年配の人:中年以上の年の人。
(注7)いまひとつ:あと少しのところで
(注8)教習所:車の運転技術を教える学校
問1 ① 「必需品になるのではとすら思うようになった」とあるが、どうしてか。
1 最近タクシーがつかまらないことが多いから。
2 若い時より重い荷物を運ぶのが大変だから。
3 年寄りがみな運転するようになっているから。
4 年寄りにとってドライブは楽しいものだから?
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